イジワル騎士団長の傲慢な求愛
「だって、お父様をあんな体にした上に、大切な妹の命まで狙ったのよ?」

エドガーに向き合うシャンテル。その瞳には、セシルにはない、毅然とした力強さが宿っている。

「……それに、今までセシルにだけ辛い思いをさせて体を張らせてきたんだもの。このくらいやってやらなくちゃ姉の立つ瀬がないわ」

仮面の位置を直し、胸もとを引き上げ胸を強調するようにドレスをずらし、シャンテルは歩き出した。
優雅に腰を振って一歩を踏み出す。自らが女であることをひけらかすように。

セシルとは違い、長年女性としてその身と付き合ってきたシャンテルは、男ひとりくらい誘惑できる自信があった。

ターゲットのうしろから回り込み、あえて足もとにイヤリングを落としてみせる。
拾ってもらったところで、相手の手をそっとなぞり、上目遣いで胸を寄せた。

「ありがとう。一曲踊っていただけませんか?」
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