婚礼の儀式は、フランドル領の中心にある一番古くて由緒正しい教会で行われることとなった。

ルシウスとセシルだけでなく、ルーファスとシャンテルの縁談話もとんとん拍子で進み、一足先に両家の長男・長女である彼らが式を挙げる運びとなった。

「とても素敵な教会ですね」

ルーファスとシャンテルの式の当日。

参列者であるセシルは、爽やかな淡いブルーのドレスに身を包み、まだ誰もいない大聖堂に足を運んだ。

声が響くほど高い天井と、船先のように尖ったアーチ状の柱がいくつも連なる身廊、それが細く長く祭壇まで続いている。
端々に精緻な彫刻が施され、天井に近い壁面には採光用の窓があり、外の光が綺麗な線を描いて射し込んでいた。

「ええ。式の時間になると、この光が祭壇に集まるよう設計されています。とても幻想的で美しいですよ」

隣にいたルシウスがそっとセシルの手を取り、エスコートする。

「……早く、私たちも式を挙げたいですね」

どこか空々しくセシルは言う。
その感情なき呟きに気づいているのかいないのか、ルシウスは「ええ」と淡々と賛同する。

「……そろそろ、お姉さまはドレスに着替えている頃でしょうか」

「少し、様子を見に行ってみませんか?」

「でも、お邪魔になってしまうかも……」

「大丈夫ですよ。愛する妹に来てもらえて、邪魔などということはありません」

少々強引に手を引かれる形で、セシルはシャンテルが控える教会裏手の石造りの塔へと足を運んだ。

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