扉を開けてまず目に飛び込んできたのは、部屋の中央に飾られた純白のドレス。清楚で、けれど華やかな、とびきりの花嫁衣裳だ。

「わぁ! 素敵……」

セシルはうっとりと感嘆の声を漏らした。
これを着た姉はきっと花のように麗しく、艶やかだろう。
羨ましい、自分もこれを着て、彼の隣に並びたかった――
と、最後の心の声は、決してまわりに悟られぬよう、こっそりと胸の内だけに秘めておく。

その様子を見たルシウスがやや的外れな質問をした。

「気に入っていただけましたか?」

シャンテルの衣装なのだから、セシルが気に入っても仕方がないというのに、不思議に思いながらもセシルは答える。

「ええ。とても。いつか私が式を挙げるときは、このお姉様の衣装を譲り受けたいわ」

「……では、いつかと言わず、今お召しになるといいですよ」

ルシウスはそう言って、セシルを奥の部屋へと押し込んだ。
そこにはまだなんの準備もしていないシャンテルが待っていて、セシルの姿を見てパッと表情を明るくさせた。

「遅いわよ! 早く準備しないと、式が始まっちゃうわ!」

あっという間に侍女たちがセシルの周りを取り囲む。セシルはなにが起きたのかわからず、目を白黒させた。