二十日後、正式に婚約を交わすため、屋敷に大仰な馬車三台を引き連れてフランドル伯爵家一行がやってきた。

屋敷の前に使用人たちが並び、出迎えの列を作る。
その中央に、フェリクス、シャンテル、そしてセシルが立つ。

先頭の馬車に乗っていたのは、ルーファス・フランドル伯爵。
濃紺の外套に、深緑のベストとズボン、アンバーの編み上げブーツと、腰には太く長い立派な剣を携えて、馬車から降りてきた。

最後尾の馬車に乗る壮年の男は、それなりに位の高い家臣のようで、貴族の服を身につけてはいるものの、主人に比べればあまり主張のない控えめな装いをしていた。

そして、前後ふたつの馬車に守られるようにして降りてきたのは、ルーファスと同じ白金の髪、深蒼の瞳、瓜二つの端正な顔。
ルーファスよりもわずかに線が細いのと、服の色が正反対の深紅であることからやっと区別がつく。

彼がルーファスの双子の弟、ルシウスなのだろう。
セシルはごくりと喉を鳴らした。

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