「でもルシウス様も素敵よね。あなたの部屋で話をしていたとき、倒れそうになった私を助けてくださったもの。お話をしていても、とても優しくてお気遣いの上手な方だったわ」

「お姉様は庭園でもルシウス様に守っていただいたものね」

「あら。嫉妬しているの?」

シャンテルが白くて滑らかな腕を、湯で優しく撫でた。
ふたつ年上のシャンテルは、セシルよりも大人の色香があり、艶っぽい。
胸も、包帯で押さえつけて育ったセシルのものより、ずっと豊満だ。今となってはそんなシャンテルが羨ましいとセシルは思う。

「実は、お父様がルーファス様にお願いしたそうなの。セシルだけでなく、私のことも嫁がせてくれないかって」

「それって!?」

驚きのあまり立ち上がってしまったセシル。ざぁっと波が立って、今度はシャンテルが顔を歪める。

「ちょっと、やめてちょうだいよ」

セシルはゆっくりと湯の中に座ったが、不穏な感情に言葉を失くしていた。
ふたり同時に嫁ぐだなんて、いったいどういうことなのだろう。
まさか一夫多妻制だなんて――王族でもあるまいし、あり得ない。

「安心しなさい。ルシウス様を取ったりしないから」

「じゃあ、嫁ぐって誰に……」

「もちろんルーファス様よ」

「え……?」

その名に驚いて、セシルは呆然とシャンテルを見つめた。
なぜだろう、胸の奥が詰まり息苦しくなる。