過保護なドクターととろ甘同居


お会計が済んだ患者さんも上着を羽織り、病院を出ていく。

誰の姿もなくなった待合室に出て、お手洗いのチェックと簡単な掃除を始めた。

ゴミ箱のゴミを捨てにいき戻ってくると、病院の入り口が開き、赤ちゃんを抱っこ紐で抱いた女性が一人待合室へと入ってくるのが見えた。


「こんにちは」


声を掛け、いそいそと受付けの内側へと戻る。

午前の診察時間は残りわずかだけど、急患だろうか。

私よりは歳上に見える、でも若くて綺麗なお母さん。

小さな子がいるのに、身なりに気を配っているのがわかり、赤ちゃんを抱いていなければ、独身のOLさんにでも見えちゃう感じの方だ。

セミロングの栗色の髪は緩く巻かれ、嫌味のないナチュラルメイクがはっきりした顔立ちを引き立てている。

白いダッフルコートにレンガ色の膝丈スカートを履いて、足元はブラウンのショートブーツ姿だ。


「あの、今日は診察ではなくて、忽那先生に用がありまして。あ、私、滝瀬と申します」

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