クールな王太子の新妻への溺愛誓約
ともにふたりで


「――ベティ、ちょっと待って。もう少し緩く……」


クレアはコルセットを締め上げるベティに懇願した。

今日はこれからレオンとの婚礼の儀が執り行われる。クレアとレオンが待ちに待った日が、いよいよ訪れたのだ。


「なにをおっしゃいますか、クレア様。このくらいで根を上げていては、純白のドレスを美しく着こなすことなどできません。そもそも減量なさるとおっしゃっていたのは、私の空耳だったのでしょうか?」


ベティは相変わらず手厳しい。
それもすべてクレアのためを思ってのこと。最上級に美しいクレアでレオンに嫁がせたいのだ。それが侍女としての使命だと。


「確かにそうは言ったけど……。でもね、レオン様は『痩せすぎているくらいだ』って言ったの。だから――っ……」


言い訳を並べるクレアの声が詰まる。
ベティが“問答無用”とばかりに、コルセットを締めたのだ。


「レオン殿下ときたら、クレア様に甘すぎるのですから困ったものです」

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