不機嫌なジェミニ

初めての恋人。

ジンさんは仕事の間は難しい顔で、指示をだしたり、ミーティングをしたりして、いつも通りに仕事をし、
スタッフの誰にでも同じように接して
ほとんど甘い顔を見せなかったけど、

時折夜にかかってくる電話は
週末の約束をしながら、
好きだよ。とか、早く会いたい。とか
甘い声で囁いてくれ、
それだけで、私は幸せな気持ちになった。

週末はジンさんの都合で、
金曜日の夜からか、土曜日からって感じになる事が多い。
どちらの曜日になっても、翌日ジンさんは夜遅くに家に送ってくれ、私がマンションの入り口のドアの内側に入るまで見送ってくれ、帰って行く。
その後の日、私は家事をしているけど、
ジンさんは何をしているのかな?

私といない時のジンさんのプライベートに踏み込むのが怖くて、
私は自分から連絡する事はない。

私はジンさんと恋人なんだろうけれど

近くなればなるほど不安が増えていく。

< 115 / 159 >

この作品をシェア

pagetop