不機嫌なジェミニ
ヤキモチは恋の始まり。

昔の女。って何ですか?

明日はバレンタイン。

久し振りに出席した学校から帰ると、
毎年恒例の友チョコづくりが、香澄とともに待っていた。

「トーコちゃん早く」と部屋に入るなり、捕まって一緒に作るよう強要される。

「私は今年は作る必要がないような気がするんだけど…
明日は学校に行かないし、バイト先には大人の人ばかりだから、
手づくりなんて渡せないでしょう?
もう、買ってあるし…」と言ってみる。

ジンさんと、セイジさんと、蘭子さんと『マッキンレー』夫妻に
有名ショコラティエのチョコレートの2粒セットってヤツを用意してある。
まあ、食後のオヤツ。って意味合いが強い。

「だって、私は明日みんなに配らなきゃならないんだよ!
手伝ってくれてもいいじゃない」って強引な香澄に負けて、手伝う事になってしまった。

毎年恒例のブラウニー。
焼いたチョコレートケーキにブランデーで香りづけした溶かしたチョコを付け、
オレンジピールやクルミでデコレーションする。っていうのを作っている。

どうやら、お菓子を作っているのは私で、
香澄は道具を並べたり、出来たお菓子を切り分け、デコレーションが終わったら、
ラッピングをする。っていう作業を主にしていて、
彼女がひとりで作ることはない。

まあ、今年で最後になりそうだよね。
来年の今頃香澄も学校にほとんど行かないんだろうから…仕方ないから付き合う事にしよう。

社会人になったら、友チョコなんて交換するってこともないいんだろうし…
と思いながら、小麦粉や、ココアや、バターを秤に乗せた。
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