フェイク アフェア ~UMAの姫と御曹司~

3-3

怒ってる。

そうか、そうだよね。

私は専務室から出ないって約束を守ってなかったし。
一歩間違えたら修一郎さんを巻き込んで大ケガをさせるところだった。

ただでさえ偽装婚約で迷惑をかけている。

おまけに『キズモノ』なのに会社で婚約者だなんて顔をして・・・

胸が苦しくなって嗚咽が漏れてしまった。

ひくっ
涙があふれ出てくる。

「ノエル、ごめん。怖かったよね。我慢しなくていいよ」
一転してさっきとは違う修一郎さんの声がした。

え?

声を出そうとすると、そこはもう専務室の前で、そこには私を心配してくれていた沙絵さんの姿があった。

「安堂さん!」

「ああ、深山さん。あなたのおかげでノエルは無事でした。本当にありがとう」

沙絵さんが修一郎さんに声をかけてくれたのか。

「沙絵さん迷惑かけてごめんなさい。ありがとう」

抱かれたままで頭を下げた。

専務室で沙絵さんに温かいお茶を入れてもらって少し落ち着いた。


「天候不順で帰京できなくなると困るから早くあっちを出て来たんだけど、正解だったな」

悪天候で飛行機が飛ばなくなる前に急ピッチで仕事をこなして東京に戻ってきたのだという。

「羽田から電話したのにノエルは出ないし・・・。帰ってきた途端、深山さんが血相変えて走ってきて『安堂さんが大変です』っていうし。エレベーターホールに行ったら非常階段の方から大声が聞こえてドアを開けたらノエルが落とされそうになってるし。君は俺の寿命を縮めたいの?」

はあっと大きなため息をつかれた。

「ごめんなさい。当たり前ですけど、そんなつもりはありません・・・」
私はシュンとした。

「そういえば、それ新しく買った服なのか?いつものノエルの仕事用にしては少し雰囲気が違う気がするけど」

あ。

私は沙絵さんの方をちらっと見てしまい勘のいい修一郎さんはその視線に気が付いてしまった。

「ノエル」

また修一郎さんの低い声が。

まずい。

ビクっとしていると、ノックの音がした。

天の助けと思ったら、全く違った。
「専務、至急のお話があります」と入ってきたのは常務の秘書の坂本さんだったから。

更に表情を硬くした私に修一郎さんは盛大なため息をついた。



沙絵さんと坂本さんから今日の話を聞くと
「次の出張は絶対にノエルも連れて行く」と宣言した。

はあ、やっぱりそうなりますよね・・・。
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