オトナの恋は礼儀知らず

6.とにかく仕事

「友恵さん！
　こっち来てください！」

　掃き掃除をしている手を引かれ、ゴミと一緒に昨日の出来事は消えてしまえとの心の掃除まで中断された。

　そこはアンティークな外観と癒しをテーマにしている場所。
　内装や家具、全てに自分の好みを詰め込んだ我が城だ。

　数年前に独立して自分のお店を構え、美容院で店長をしている。

　手を引いている亜里沙は前のお店の頃から慕ってくれていていた子で、亜里沙と合わせて２、３人と、新しく何人か雇った子達とでやっていた。

「昨日と同じ服なんて何かあったんですか？
　福くんに見られたら何を言われるか……。」

　そうね。
　福田くんに何か言われるのは勘弁して欲しいわ。

　亜里沙はロッカーをこれでもないあれでもないと服や小物を引っ張り出していた。

　彼氏と過ごして家に帰っていられない時の服なんかを置いているらしい。

　若いって違うわねと感心する。

　自分が若い頃も置いていたなぁと夜な夜な遊んでいた頃が懐かしい。