国王陛下の極上ティータイム
レモンのグレーズ
紅茶屋で買えたものと共に王城に向かうクラリスは冷や汗を掻いていた。そして少し早足になりながらも店主が言っていた言葉を反芻する。

この国は他国と比べても決して小さな国ではないし、非力でもない。セレスティーナ姫の国とも交流が盛んで、フォルスト国とは同盟まで結んでいる。けれど店主の話を聞いた限り、外国との貿易が断絶されているとも考えられる。

もしそれが事故や遅れなどではなく、他国の包囲網によるものだったら。それはこの国が孤立無援の状態になったも同じこと。


そうなれば、この国は。


考えるだけでクラリスは冷や汗が止まらなくなった。

このことがあったからこそ、クロードは国王陛下の執務室に直接出向いたのではないだろうか。だとしたら、これは、今クラリスが考えているよりずっと大変な事なのかもしれない。

けれどランティスはいつもと変わらない様子だった。いつもと同じようにクラリスをからかっていた。

けれどそれも何かの裏返しだとしたら?

ランティスが笑うのは寂しさを誤魔化すためだ。それならば、いつものようにからかったのは。

思考はいくつも浮かんでは消えていく。

不安だけが一方的に募る中、急いで城に戻った。


外国からの物質がこの国に届いていないことは、既に城の使用人達の間でも噂となっている様子だった。戻ってきたところを城の門番にも尋ねられたくらいだ。

焦る気持ちを抑えられないままクラリスは茶室に急いだ。

茶室では本を片手にブランが優雅に茶を飲んでいた。帰ってきたクラリスに気づくとこう声をかけた。


「茶葉は買えたか?」
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