冷徹社長の容赦ないご愛執
 でもそこには、お寿司を食べる前のようなうきうきとした表情と、よこしまなものが見える。

 そこへちょうど、お料理を持ったウェイターが現れた。

 失礼いたします、と私のそばのローテーブルに置かれたのは、野菜がたくさん散りばめられたサーモンのカルパッチョ。


 「うまそうだな」と呟いた社長を、私は目を細めて横目に見た。


「社長、九州に行こうだなんて……もしかして、ご自分がお魚食べたいだけじゃないですか?」


 私の直感にYESともNOとも返さない社長は、不敵に笑った口にワインを含んだ。




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