「ご両親、起きてるか?」

「父は留守にしていて、母ならまだ……」

「声かけさせてもらってもいいだろうか」

「え?」

「夜中に大事な娘さんを連れ出すんだ。断りくらい必要だろう」


 冗談を言っていたかと思えば、急に真面目なことを言いだす社長。

 私だってもう立派に自立した大人だ。夜更かしだって夜遅くまで出歩くのだってよくあることだし、そのくらい自分で管理できている。

 それなのに、親に外出の断りをするという社長の誠実さに、胸がたしかにきゅんとした音を立てた。


「ありがとうございます」

「当然のことだろう」


 しかもそれを鼻にかけたりしない紳士の姿が、私の胸の鼓動を早めさせた。



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