冷徹社長の容赦ないご愛執
金髪米国人、来日。
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 言葉少なに、待たせていたタクシーへと引き返し、乗り込んだ車内でもずっと手は繋がれたままだった。

 二度も触れられた唇は、まだそこに社長の感触を残し熱を持っているよう。

 空港への帰路につくタクシーの中。

 車のシートの上に置いた絡みあったふたりの手。

 隣に座る社長の体温は繋ぐ手から伝わっていて、体と心を火照らせる。

 社長の長い指がやわやわと私の指の間を擦り、手の甲を滑る温かな親指に鼓動は急かされっぱなしだ。

 そのしぐさに色っぽさを感じたのは、ときおり呼ぶようにぎゅっと手を握りしめ、私の顔を上げさせる社長が、やんわりとした目つきで私を見つめていたからだ。

 私に特別な目を向けてくる社長に、いとも簡単に胸はときめき、すぐさま頬は上気する。
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