冷徹社長の容赦ないご愛執
「じゃあな、お疲れ」

「お、お疲れさまでした!」


 眠気を吹き飛ばすほど、いちいちなにを意識することがあるのかと姿勢を正して自分を諌める。

 社長は、私が意識するほど特別な意味合いを持たせたわけじゃない。

 そう思うのに、どきどきと鳴る胸の鼓動が、閉まるドアの音も掻き消すほど、夜に眠る住宅街に響いているようだった。



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