冷徹社長の容赦ないご愛執
新社長、あらわる。
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 私はというと。二年の留学を挟んで二十四歳で大学卒業、新卒で国内でも大手の肥前商事に入社した。

 秘書課に入ったのは、求人募集の要綱欄に“通訳ができること”という項目があったから。それだけだった。

 もちろん、入社してからは、留学時にやっていた日本語学校のアルバイトの経験を活かし、それなりにやりがいのある職に就いたと自負している。

 今回数名いる秘書課の中から、新社長の秘書兼通訳を命じられたことだって、とても光栄なことだし、なんの役職も持たなかった私には、昇進と同等の待遇だと思う。


 辞令を受けてから、一週間が経った今日。

 冬に足掛けをしている十一月初日の、眠気がピークに達するお昼過ぎ。

 二十五階全面をガラス張りにしている眩しい自社ビルの正面玄関前は、ほどよく暖められた空気が、その周りだけピリピリと肌を刺すような緊張感に包まれていた。
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