溺甘豹変〜鬼上司は私にだけとびきり甘い〜
「やっぱりあれ? 抱かれちゃったから?」
「ちょっ、その話蒸し返さないでくださいよ!」
せっかく忘れてたのに。それにまだそうと決まったわけじゃない。……というか、迷宮入りすると思う。直接本人に聞けるわけがないもん。
「じゃああれね。究極のドMになっちゃったってわけね」
「人を変態みたいに言わないでください!」
ムキになって突っ込むと、ユリさんがケラケラと笑う。もう、ユリさんてばおもしろがって。
でもユリさんの言う通り、あんなに怖かった九条さんに怯えることがなくなったのはきっと、優しい一面を知ってしまったからかもしれない。