溺甘副社長にひとり占めされてます。
おまけ

心地よさをまとった声を耳にした気がして、私はゆっくりと瞼を持ち上げる。

まどろみながらベッドの上で寝返りを打てば、窓際に立ち誰かと電話で話している白濱副社長の姿を見つけた。

ホッとすれば、自然と口元に笑みが浮かぶ。

彼はお風呂上がりらしい。濡れた髪の毛をタオルで拭きつつ、にこやかな表情で、時折笑い声を挟みながら英語でしゃべっている。

ときどき冷徹な表情をのぞかせるビジネスモード全開な彼も素敵だけれど、すっかりリラックスモードで、かつ無防備に見える彼もまた格好良い。色気もある。

こうして眺めていると、まるで映画のワンシーンみたいだ。

彼が主演なら、とっておきの大人のラブロマンスになるだろう。

そしてヒロインは……私。

幸せな妄想が膨らみすぎて、くふふと笑ってしまえば、話し中だった彼の視線が私へと向けられる。

目と目が合えば、彼が口元に笑みを浮かべた。

優しく笑いかけられた途端、ちょっぴり現実に引き戻された。

ひとり笑っている自分が恥ずかしくてたまらなくなっていく。

ぎこちなく笑い返してから、私は慌てて寝返りを打ち、彼に背を向けた。




本日行われたロイヤルムーンホテル45周年記念パーティーは、予定通りの進行で、無事に終えることが出来た。


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