私の上司はご近所さん
Story・1

交渉成立


午前の業務終了を知らせるチャイムがオフィスに鳴り響く。

好き嫌いがなく、食べることが大好きな私----園田百花(そのだ ももか)にとって、お昼休憩は仕事中で一番好きな時間帯。足取りも軽く社員食堂に移動すると、ハンバーグ定食をオーダーした。

ランチタイムを一緒に過ごすのは、同期の加藤結衣(かとう ゆい)。人事部に配属されている彼女はストレートの長い髪にタイトなスーツが似合う、クールビューティーという言葉がピッタリな女性だ。スレンダーとはほど遠い体型と丸い顔がコンプレックスな私にとって、結衣は同期だけれど憧れの存在でもある。

普段のランチタイムはドラマの感想やおいしいお店の情報など、他愛もない話で盛り上がる。それなのに今日は四月一日付で私が所属している、本社広報部に異動してきた藤岡千秋(ふじおか ちあき)部長の話題でもちきりだ。

「札幌支社では営業部の課長だったのに、いきなり本社の広報部長になるなんてすごいよね」

「うん。そうだね」

興奮気味に話を進める結衣に同意する。

部長の経歴は彼が異動する前から広報部でも話題になっていた。広報部のメンバーは結衣と同じように新部長の抜擢に驚き、そして広報業務の経験ゼロの彼が上司になることに不安を感じている。

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