天神学園の奇妙な案件
慎ましきかな同棲生活
ある日の天神学園。

「あ」

ヴラドとルナは、廊下でバッタリ遭遇する。

家出から早一週間。

花龍とは連絡を取り合っているルナだが、ヴラドとは一言も口をきいていない。

「ルナ」

いつもの威圧感たっぷりの態度で、ヴラドは言う。

「貴様の強情ぶりには、ほとほと呆れた。仕方がないので、ここは親であり大人であるこの俺が、王としての度量を見せて折れてやろうではないか。ヴァンパイアハンターの青二才との交際など、本当は反吐が出そうなほど不愉快極まりないのだが、ゆくゆくはツェペリ家の婿養子になるという条件付きで、特例中の特例として認めてやっても…ってオイ」

ヴラドの長台詞にも、一切耳を貸さず。

ルナは立ち止まる事すらせず、ヴラドの横を通り過ぎて、歩いて行ってしまっていた。

意地っ張り、ここに極まれり。

ヴラドとルナの雪解けは、まだ遠い。

とうの昔に、ヴラドは交際を許しているというのに。

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