天神学園の奇妙な案件

準決勝

ティーダとの勝敗はどうだったか。

どんなに頭を捻ってみても、龍一郎は思い出せなかった。

間違いない、彼はこの時代に来る前、タイマントーナメントでティーダと戦っているのだ。

それなのに、勝敗が…勝敗だけではなく、戦ったのが1回戦だったか準決勝だったか決勝だったかさえも。

どんな技を食らい、どんな技を放ち、どんなやり取りの末、どんな決め技を使ったのか。

ほんの触りさえも思い出す事が出来ない。

タイムスリップする前の事は、殆ど詳細に記憶しているというのに、ティーダとの戦いの記憶だけが、不思議な事にすっぱりと抜け落ちているのだ。

あまりに解せなくて、或る日龍一郎は、禿鷲に訊ねた事がある。

自分とティーダとのタイマントーナメントの勝敗は、どうだったかと。

…禿鷲も記憶していなかった。

現代の魔術では傷付けられないレベルでの対魔力を持つ臥龍、時間操作でさえ記憶を失う事のなかった禿鷲が、ティーダと龍一郎の勝敗だけは全く記憶していなかった。

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