【完】Kiss me 社長の秘密と彼女のキス
「美樹さん!昨日は本当にすみませんでした」
席に着くと美樹に声を掛けて、また頭を下げた。
「もう大丈夫なの?やっぱり冬の嫁ちゃんは厳しいね」
顔をしかめると美樹もうなるように言った。
「はい」
「でも治ってよかった。今週はマスコミ向けのイベントの最終調整でいろいろ忙しいし、休館日にはリハも入るしね」
そう、今週の水曜日の休館日はマスコミ向けのイベントのリハが入っている。そこに出ないという選択肢は麻耶には無かったため、風邪が治り麻耶自身一番安堵していた。

「水崎ちょっと!」
主任の奥野に呼ばれ麻耶は、急いで奥野のデスクに向かった。

「これ。ここの進行の件なんだけど」
手渡された当日の進行表に麻耶も目を落とした。
麻耶は当日のマスコミの案内役でもある。

「ここでチャペルからガーデンへの移動の時、マスコミの導線なんだけど」
地図を見ながら奥野は説明した。
「ああ、ここで嫁役のアイリさんとぶつかる可能性ありますよね」
「そうなんだ」
麻耶は少し考えた後、
「どうします?ついたてを入れるか……すこし遠回りになりますがドレスサロンの方からマスコミを回しましょうか?ドレスサロンも見てもらえますし」
地図に指を走らせると、奥野も頷いた。
「では、ドレスサロンの店長にも話しておきます。もしかしたら少し見学……もありえますよね?比較的時間は余裕があるので大丈夫だと思います」
奥野は頷くと、事務所に入ってきた始に声を掛けた。

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