木々の緑が生い茂る大きなチャペル。
風で揺れる木々の音と鳥のさえずり。

幸せな人の集まる場所。
一生に一度の主役の一日を……。

最高の瞬間をあなたに……。

そんな自社のCMを頭の中で思い浮かべながら、麻耶は真っ青な空を見上げた。

しかしそんな気分も吹き飛ばすように声が飛び、麻耶は現実に引き戻された。

「水崎!この花の発注終わっているか?」
「はい!大丈夫です!主任!」
「麻耶ちゃん、この模擬挙式のヘアメイク押さえてある?」
「美樹さん、大丈夫です!」

麻耶は忙しく掛けられる言葉に、走りだしながら答えると慌てて腕時計に目を落とした。

(やばい!ぼんやりとしている場合じゃなかった!新規の見学のお客様まであと1時間しかない!あー急がないと!)
麻耶は自分を奮い立たせるように、一度頬を軽く叩くとチャペルへ向かった。