ガチャリという音がして、芳也が返ってきたことが分かった。
その音とともに麻耶はチラッとリビングから顔を出して芳也を見た。
「……お帰り……なさい」
「ただいま。なんだよ?そのこっそりとした感じは」
ジャケットを脱ぎながら入ってきた芳也の声に、麻耶は恥ずかしそうに目を伏せた。
「だって……いつもは夜はあまり会わないから、なんか恥ずかしいし、社長が俺の事は放置しろって言ったし……」
ブツブツと言った麻耶のその言葉にクックッと肩を揺らすと、「今日はカレーを頼んであっただろ?着替えてくる」そう言って芳也は自分の部屋に消えて行った。

「社長?先にご飯の用意をしていいですか?それともお風呂ですか?」
芳也の部屋の前で、麻耶は声を掛けた。
「ああ、ありがとう。先に食事にして」
その返事を聞くと、麻耶はキッチンに向かい、カレーを温め、サラダと昨日真野が作り置きしてくれていた、ジャーマンポテトをテーブルに出した。
今日のサラダは、さっぱりとしたレモンを利かせたドレッシングの温野菜サラダだ。
カレーもたくさんの野菜を入れて肉は牛肉だ。