意地悪上司は私に夢中!?
みんなに促され、早めに帰ることになった永瀬さん。

一応有休扱いということになっている私も、ついでに永瀬さんの車で送ってくれることになった。

…なのになぜか私のアパートを素通りして、そのまま永瀬さんのマンションに一緒に来ることになった。

「…あー眠い」

ベッドに倒れ込んで、永瀬さんは目元に腕を乗っけた。

「だから、なんで私まで連れてくるんですか。
ひとりのほうがよく眠れるじゃないですか」

「まあこっち来いよ」

眠そうなとろんとした声にキュンとして、ベッドの端に寄ったら、腕を引っ張られてベッドに倒れこんだ。

「キャッ…」

急に永瀬さんの顔が目の前にきて、心臓が飛び出そうになる。

「お前のこと守れてホッとしてんだよ。
抱かないと眠れない」

唇が触れて、ギュッと抱きしめられた。

私もその胸に顔を埋める。

「…永瀬さん、ありがとう。大好き」

「名前で呼べよ。…歩美」

ドクンと鼓動が跳ねる。

苗字でしか呼ばれたことがないのに、不意打ちで『歩美』はズルイ。

ドキドキしながら、すうっと息を吸い込んだ。

「…篤志」

少し沈黙があって、彼は首の後ろをぽりぽり掻いた。


…なんだ。

自分だって照れてるんじゃん。

嬉しくなって、もう一度名前を呼んだ。

「篤志、好き」

「俺も好きだ。歩美」

永瀬さんの体温を感じながら、耳元で囁かれる甘い声に、私は心地よくて目を閉じた。

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