何度でも恋に落ちる

1・信じる気持ち

季節は早いもので、翼と出会って初めての冬が訪れようとしていた。


今日もいつものように空っ風が吹く街を翼と歩いていた。




「一気に寒くなったね。東京って暖かいイメージがあったけど…。もう11月だから当たり前かぁ」

「そうだね。でも俺、冬って好きだな」

「なんで?」



千夏が翼の横顔を見上げると、翼は前を向きながら微笑んでいた。




「翼?」



何も答えない翼のコートの裾を掴むと、翼はその手をコートのポケットに入れた。




「冬の特権でしょ、これ。だからだよ」



翼はコートの中に入った千夏の冷たい手をギュッと握った。




「…あったかい。翼がいてくれるから今年は手袋要らないね」



千夏がニッコリ微笑むと、翼は頬を赤く染めて再び前を向いた。



冷たい空気を乗せた風が吹き付けても、寒いなんて思わなかった。


千夏の心も手も全てあたたかかった。
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