お酒も入ってたし、確かにカッカしていた。
普段なら口に出す前に止めるだけの理性を働かせることができたのに、煽られて言いたい放題になってしまった自覚はある。
だからこれも私の自業自得。
でも。


――どうしようっ……!!


私はバスローブ一枚の姿でどこに身を置いていいかもわからず、粗末なソファにちょこんと浅く腰を下ろしていた。
とてもとても部屋の中央なんかに顔を向けられない。


どうしたいいの、どうしたら……。
さっきから聞こえてくるシャワーの水音が、少しお酒が抜けて冷静さを取り戻した私の不安を煽り続ける。


今、一色先生がシャワーを浴びている。
この水音が止まったら、彼はきっと、私と同じようにバスローブ姿で浴室から出てくるはず。
そして、そうしたら……。


私は緊張で胸をバクバクいわせながら、そおっと背後に視線を向けた。
そこにこの狭い部屋で、圧倒的な存在感を放つダブルベッドがある。


ここは、東都大学の最寄り駅付近にあるごく普通のラブホテルだ。


あの後――。
一色先生は一度脳外科医局に戻り、着替えを済ませてから、私の腕をグッと掴んだ。
そして、一言。
素っ気なく言ったのだ。


『身体を張ってでも試すって言うなら、ついてこい。途中で逃げてくれても構わん』