祖母の誕生日当日、私は朝から大忙しだった。
昨夜のうちにできる限りの仕込みは済ませておいたとは言え、パーティー仕様のお料理を三人分。
テーブルの上が華やぐように見た目も綺麗に彩りよく、と考えたら、品数も量も多くなってしまい、大わらわになった。


夜はいつも午後九時には就寝する祖母は、だいたいいつも夜明けと共に起きる。
私もその生活音をアラームにして目を覚まし、祖母とほぼ一緒に一日のスタートを切った。


昨夜も遅くまで仕込み、早朝からの準備。
私は大欠伸しながらキッチンに立った。
パーティー開始は正午。
一色先生には、それに合わせて来てくださいとお伝えしてある。


ちょっと寝癖のついたフワフワの髪は、とりあえず後ろで一つにまとめる。
部屋着の上からエプロンを着け、『さあやるぞ!』とばかりにパンと両手で頬を叩いた。


まずは、美味しく仕上げるのに時間のかかる煮物から。
コンロ下の収納スペースから鍋を取り出していると、いつの間にか隣に立っていた祖母が割烹着の袖を捲り、いそいそと朝食の準備を始めようとしていた。


「も~っ! おばあちゃん!!」


私は慌てて立ち上がると、祖母の手から卵を取り上げた。


「今日はいつもと違うの! お誕生日のお祝いするんだから、ゆっくりしててねって、言ったでしょ!?」