酒は飲んでも呑まれるなかれ
送別会
本日は年度末。


暖かく春の兆し感じる麗らかなる日。


今宵は部署内の送別会に参加している。



私、伊月千波は前日に3年付き合った彼氏に振られて絶賛やさぐれモードだった。


そのやさぐれモードのまま、心のままにやけ酒に走っている。


最初は後輩達に絡んでいたのだが、流石に酔いが回ってグダり始め、絡み方も面倒になったあたりからポツーンである。



そっから更に残ってるビール瓶を探して回ってひたすら飲み続けているところに



「伊月、飲み過ぎだ。そろそろ止めておけ。帰れなくなるぞ。」


そう声を掛けて来たのは、なんと職場では鋼のサイボーグとの裏のあだ名を持つ鬼上司、木島和臣が居た。



「いーじゃないれすか!会費は払ってるモン!好きなだけ呑むの!呑まなきゃやってらんないの!!!」



そう言ってグラスにたっぷり入れてたビールをぐいっと飲み干そうとするとそのグラスが取り上げられて後輩に渡り見る間に無くなるビール。


「鬼!私のビール返しぇ!わーん」



ここに来てとうとう、泣き上戸までプラスされた私はホントに面倒な奴以外の何者でもなかったが




「さっき大声で愚痴ってたから聞こえてた。しんどいだろうがお酒に逃げるな。いい大人だろ?」


そう言う木島さんはこと恋愛には苦労知らずだろうて

ケッっと顔を顰めていると


「お前、酔うと顔に全部出るな。」

クスクス笑いながら言われて驚いて目を見開いて見つめ返してしまう。



あの鋼のサイボーグが笑ってる!!???


私はお酒で頭と目をやられてしまったのだろうか?



思わず目をこすって確認すると


「今のお前は見てるだけで考えてることが手をとるより明らかだな。夢じゃないぞ?」

クスクス笑ってる木島さん。


やばい、明日は季節外れの雪かもしれない・・・
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