Re:ヴェーク 《起》

家に帰ると外はもう暗かった。

放課後、バスケのせいで無駄に注目を集めてしまった龍我はありとあらゆる部活に狩り出された。

どの部活もやる気は全くなかったのだが、
お構い無しに連れ回された結果、4時帰宅予定だったのがいつの間にか日の落ちきった頃の帰宅になってしまった。

運ぶ気の失せた足を引きずりながら、玄関のドアを開けて家に入ると、龍我の腰のあたりまでの大きさしかないロボットが出迎えた。

まさにペッパーくん。
小柄な図体に胸に付いたタッチパネル。
移動は滑るように行い、騒音もほとんど出ない。

時代柄、人間そっくりのターミネーター的なロボットもいるのだが
如何せん一人暮らしの学生にはちょっとリッチな代物なので、コスパ最強のペッパーくんが我が家では待ち構えているのだ。

しかも、このペッパーくん。
なんと、家事全般をこなしてくれる超便利マシーンなのだ。
しかし、あくまでも子持ちの主婦などの家事の負担軽減を目的として造られたため、対人スキルはそれに特化したロボットよりも劣る。
が、龍我にとってはロボットとの会話なんて求めていないのでその機能だけで充分過ぎた。

ペッパーくんに、夕食を準備するように言うと小さな影はすぐさまキッチンに消えていった。

制服から部屋着に着替えてダイニングのテーブルに座って待つことわずか3分。

目の前には、ハンバーグとフレッシュサラダ、コンソメスープにその他付け合せが彩り豊かに並んでいた。
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