私の夫はダメダメ男
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 奈津子は今、弁護士のところから帰ってきた。夫を巧妙に誘惑し6年も自由にもてあそんだ、あのにくき女狐たちに少しでも仕返しをしてやろうと、本気でこんな所まで来たが、
女性弁護士に
「その女性には何一つできません。反って何かやれば貴方が訴えられるおそれがあります。だってすべて誘ったのは貴女のご主人の方ですから。今回問題なのはこんな事件が起こった後の貴方がたご夫婦の信頼関係の問題の方でしょう。世の中にはもっと悪い女もたくさんいますよ」
 まさにほぞを噛むとはこのことだろうとおもう。勿論女性弁護士に言われるまでもなく、あのメギツネに何かこちらで出来るなんて露ほどもおもっているわけではなかった。

しかし、奈津子の受けた精神的ダメージや体調不良、夫婦間の亀裂、子供達へのショック度、などを考慮すると、一太刀だけでもいい、あの女に返したくなるのが人情ってものだろう。
よく浮気をされると、亭主が悪いのに、相手の女ばかり憎くなるのはおかしいと言われているが、本当に女が憎いのがよくわかった。

この事件は、張本人の夫曰く男女のどろどろとした不倫ではないという。
そうです。夫にはたくさん前科というほどではないけれど、女性に親切にしすぎる故のボヤ騒ぎがある。その度、「妻だけを大切にします、、、。」、といった念書で風呂がたけるほどだ。

 今回奈津子がゆるせないのは療養中だった奈津子に嘘をつきつづけ、長期にわたり女達(2人)を会社にいくふりをしながら、街歩きに連れて行ってあげたことだ。
 退職後も、また新たなウソをついて、オンナ達にサービスしょうとしていたところを奇跡的みつけた。
「もっとうまいウソをつけばよかったじゃない、例えば、男4人で始めて行く、とかさ。そうしたら、私も応援してどんどん行きなさいと言ったとおもうよ」

夫は「そこまでしたらもう人間じゃないよ、それは流石にできなかった」
と今にも泣きだしそう。
こんなにも長い間よくも奈津子もだまされづけたものだ。
毎日4回ほどの電話もかくれてかけていたらしい。
だって、実におとなしそうに会社に出かけて行った夫が日中ドウドウと、女どもをつれて町あるきやらレストランやらお茶やらを人の奥さんと独身の女をつれてしているなどと誰がおもう?
 ことの発端は、もちろん性悪女たち、おもに若い方の女だ、ヤツは自分も人妻なのに平気で夫を何度もをさそった。夫にちかずき、食事を誘い、花や、ハンカチをさり気なくプレゼントして、気を許させた。さらに夫が職場を異動して離れているのに女二人で夫の職場になんども遊びにきて案内させ、どんどん夫を油断させ、絶対夫をはなれられないようにした。
弁護士さんいわく、
「女二人は元々チームだったんですよ、それに暇なご主人をひきいれうまく便利に利用していただけなのです。第一形はいつも旦那さんが誘っていたんだし、常時女は二人で来ていたのだし、旦那さんが全部わるい。それに既婚の方の女は自分の旦那さんには常になにもかも報告、了解済といっているんだし、上司の誘いを断りきれませんでした、といっているなら、これは女性側は全く悪くありませんね。どうやってもこれはもう、あなた方御夫婦の信頼の問題しか残っていませんね」

 バカな夫は、元部下の彼女たちのために、常にうそをつき、遊びにつれて行ったり家にあるカメラをそっともちだし、撮ってやったり翌日送ってやったり最高のサービス、それを6年位も続けたのだ。

そうです。人がきいたら、笑っちゃう位たわいないことでしょう。でも妻の奈津子は全部、夫は会社行っているはずの時間なのでいい面の皮、それは実に不愉快、凄くおこっています。

 夫は女たちに、ナメラレ、騙されいいように利用されづけたのです。おんなたちの技
は実に巧妙だ。夫に自然に妻への嘘をうながさせ、平気だ。常に自分たちは安全なところにいる。形としては夫の誘いにいつもしかたなく載ってあげたという風。

高齢女二人を誘ってくれる男性など、皆無だろう。そんな時お人よしの夫が上手く引っかかった。いつまでも、そんな便利な道具の夫をはなさないように、夫に従順そうにふるまい、街歩きに満足しているふり、ほめおだて。夫を肯定する。又少女みたいなしぐさ、次のデートもさりげなくねだり、夫が期待にこたえなくっちゃとおもうようにした。

「上司に街歩きに連れて行ってもらえる前日は嬉しくて、遠足の前の晩見たいにドキドキして眠れなかったんです。」と夫に甘え、
アホな夫は。「年の割には少女みたいな人だなー」と感激した。ああ、なんておろかなの。「そんなのおんなの常套句じゃないの。誰でも年がら年じゅういっているわ。」
そういったら、
「ほんとうなのか、そうなのか?」
ひどく驚いた、バカバカな夫。
それが証拠に奈津子が三人の間に切り込んだら、長期世話になった夫を助けようともせず、さーっと逃げていった卑怯なふたり。
そのことだけがショックな幼い夫。

夫よ。あなたがいっていた、
「おれがつくった理想的な街歩きのチーム、暗黙の了解と結束で俺の合図ですぐあつまっていた」

それにしてはずいぶん、あっけなく解散したもんだね。所詮お前は二人のチームにも小間使いとしてしか入れてもらえていなかったんだよ。それなのに、何回も奈津子に用意周到なうそをついて、
私達家族の思い出の地をほとんど全部、メギツネたちに喜んで差し出すなんてさ、せつなくて、もどかしくて、やり場のない気持ちだ。

「俺が苦労して連絡しつづけやっと得た大切な女ともだち、お前はおれの大切なチームをとりあげたのだ。オマエなんかオレのチームには入れるつもりは毛頭なかった」

「おいおい、それはもともと嘘の世界のことだし、その言葉を妻に堂々と言えるのですか、あなたはいったい誰の夫なの?私は貴女の姉でも母でもありませんよ」

奈津子は今体調不良で寝込んでいる。二人の女たちは夫とともに共犯だ。特にはじめにさそってきた若いほうの姑息な女は絶対許しがたい。でも問題は小さいし、二人はいつも一緒、さそったのは夫。

夫はこれからうんと償わせるとしても、ここまで夫婦を危機におとしいれた、あいつらメギツネに泣き寝入りなんてできない。だってまた別の犠牲者がでるのは必然であろう。

奈津子だっていろいろなボランティアを生業としている。まっている人も沢山いるのだ。はやく元の生活に戻りたいのだ。でも夫が正常な精神的位置につけるまで、そして、二人の女、に一泡吹かせるまで、奈津子は、アマゾネスのままでいるしかない。

ウーンこういう時、必殺仕置き人が必要なのであろう。
昔から、この手の悩みはかならず人間がいるかぎりあったはずですから、、、。
  終わり
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