美魔女オネェに拾われたなら
嵐過ぎ去り、日常へ

その後、数日滞在していた父は仕事もありイギリスへと帰国した。


その際に、それはそれは念を押すように、

「結婚する時は絶対!絶対に連絡してね!バージンロードは絶対、俺が夏美の隣を歩くんだからね!約束だよ!」

それは、絶対に譲れないという本気を感じた…。

「また、来るからね!」

そう言って私の頬にキスを落として、帰って行った父。


なかなかに、騒がしかったけれど。
初めて会った父は、悪くはなかった。

お母さんはこうなる事も、何となく予感してたのかな?
そう思いながら出国ゲートをくぐって行った父を見送った。


「ねぇ、これ年に1回の来日で済むと思う?」

手を振る私の横で明さんは、少し顔を顰めつつ


「シーズン毎に1度は来そうだな」

その答えに、

「間違いなく来るわね…」

その横でさっちゃんも言う。


「どうやら、騒がしい父付きになりそうだけど…。明さん大丈夫?」

そう明さんを横目に伺うと、


「義理の父親が友人ってのは、そこそこ複雑だけど仕方ないな。それは付いてくるんだから、それごと受け止めるさ」

そう笑って言ってくれたから。

「ありがとう、明さん。大好き!」


そう言って腕にくっつくと、私の髪を撫でながらクスクス笑って


「俺は、愛してるけど?」

「くっ、ここで言わせる気ね?でも私も慣れてきちゃったわよ?」

そう言うと背伸びしてその耳元で、

「愛してるわ、明さん」


そう言ってやると、明さんには不意打ちだったのだろう。
耳まで赤くして、口元を空いてる手で覆った。


「ヤバイ、これはヤバイ」


こんなやり取りをしていると。


「ほら、そこのバカップル!仕事しに帰るわよ!」

さっちゃんがやれやれと言った顔をして私たちを呼んだ。

「はーい!」

元気に返事を返して私達は歩き出した。
しっかりと手を繋いで。

こうして、私たちにまた普段の日常が戻ってきました。
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