ミンジュンが私を溺愛すぎる件
部屋の中に閉じ込めたい



それから三日程は、ミンジュンはとても忙しかった。

コスメブランドの日本進出に関しては、全てミンジュンの信頼のおける右腕達に任せている。
でも、大手の日本企業のタイアップとなると、日本人の生真面目な取引のやり方はミンジュンの顔を見ない事には始まらない。
ミンジュンの一番の右腕として全てを取り仕切っているカンジノでさえ、ミンジュンにSOSを出すくらいだった。

その会議や顔合わせには詠美も連れて行った。
日本語はほとんど聞き取れて内容もしっかり把握できるが、ミンジュンは何も分からないふりをした。

それは、相手の真剣度を伺うには持ってこいの策だった。
こっちが日本語を分からないとなると、途端にいい加減な態度をとる企業もある。
そういう取引先は容赦なく切り捨てる。
それが、ミンジュンのやり方だった。
ミンジュンの綺麗な顔と人懐っこい笑顔は見せかけだけで、義理人情という精神は全く持ち合わせていない。

そして、もう一つの理由は、ただ話すのが面倒くさいだけ。
全て通訳に任せてのんびりしていたかった。


詠美はしっかりとした韓国語を話す。
ミンジュンとカンジノが、顔を見合わせ笑顔で頷くほどに。

企業間での専門用語もちゃんと韓国語に置き換えて分かり易く説明した。
ミンジュンはこのギャップに心が踊った。
韓国語の通訳という仕事に責任と誇りを持っている証拠であり、陰で努力をしているに違いないはずだから。



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