契約書は婚姻届
第6話 車と元彼と私
もらった名刺を手に、朋香は悩んでいた。

……連絡して欲しい、か。

ずいぶん前に別れた彼氏。
いまさら話すことなどない気もするが、いったいなんの用なんだろう?
 


雪也と付き合っていたのは、大学二年から四年の前半の約二年間。
朋香にとって、少し遅くに出来た初彼で、もちろん初体験の相手だ。


大学二年のサークルの夏合宿、いまどき、王様ゲームが始まった。

「じゃあ、6番の人と9番の人がちゅー!」

思わず自分の、手の中の割り箸を確認してしまう。
そこに書かれてるのは……9の文字。

……いやいやいや、無理だって。
だって私、まだキスとかしたことないし。

動揺している朋香をよそに、場は盛り上がっている。
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