契約書は婚姻届
第8話 焼き肉デート
朋香が庭に出ると、すぐにロッテが寄ってきた。

「いこっか」

「ワン!」

女の子のロッテには失礼だが、嬉しそうに尻尾をふりふりしている様は尚一郎そっくりで、思わずくすりと笑いが漏れた。

「やっぱりロッテの云う通りだったよー。
元彼なんて会うもんじゃなかった」

「ワン!」

私の云うことを聞かないからよ、などというロッテの声が聞こえてきそうだ。

最初からロッテの云う通り、雪也になんて連絡しなければよかったのだ。
そうすれば、尚一郎を傷つけたり、死ぬほど悩んだりすることなどなかった。

「あ、でも……」

「ワフ?」

ロッテが不思議そうに朋香の顔を見上げる。
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