契約書は婚姻届
第14話 お姉ちゃん?
チロリロリン。

携帯の、通知音で目が覚めた。

「ん……」

画面を確認すると、尚一郎から。
急いで起きてタップする。

“Guten Morgen(おはよう)、朋香。
もしかしてまだ寝てるのかい?
僕はいま起きたところ。
じゃあ、またあとで”

ほかにも、眠る前の挨拶やいくつかメッセージが入っていた。
何度か鳴ったはずの通知音に気付かないなんて、どれだけ眠りこけてたんだろう。
携帯の時刻はすでに昼を過ぎている。
慌てて起きて顔を洗い、部屋のドアを開けると執事の男が立っていた。

「お目覚めですか、朋香様」

「……おはようございます」

冷ややかな男の視線に、居心地が悪い。
人の家、しかも義父の家でぐーぐー昼過ぎまで寝ていたなどと。
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