大剣のエーテル

*エーテルの団長



パァン!


一発の銃声が部屋に響いた。

その直後、部屋と庭を繋げていた大きな窓が“雷の弾”で撃ち抜かれ、弾がその弾道上にいたダーナに直撃した。


「がは…ッ…!」


ダーナは気を失ってその場に倒れこむ。


(な、何…?!)


状況が掴めず、まばたきをした瞬間。

聞き覚えのある低い声が耳に届いた。


「異様な魔力を感じて来てみれば…。やっと見つけたぞ、この問題児が!何遊んでんだ、ボケ!」


割れたガラスの向こうから現れたのは、スーツを着こなし、怪しい風呂敷包みを担いだ漆黒の髪の男性。

琥珀色の瞳は魔力で爛々と輝いていて、その片手には魔法で作られた“拳銃”が握られていた。


「…げ。」


ランバートが小さく声を漏らす。

私は、この場に現れた男性の名をぽつり、と呟いた。


「イヴァンさん…!」


すると、眉間に深いシワを寄せた彼は、キッ!と鋭い視線を私に向けた。


「ノア。熊を狩りに行ったんじゃなかったのか?これはどういう状況だ。子どもは暗くなる前に帰ってくるのが常識だろう!」


ぴしゃりと説教をされ、先ほどまでとは違った緊張感から体がこわばる。

しかし、それと同時に安心感が胸に広がった。

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