大剣のエーテル

*少女と幻夢石



「座れば?立っていられても落ち着かない。」


「は、はい…。」


ランバート達が出て行ってから数分後。

やっと交わされた会話は、事務連絡のようなものだった。

愛想のかけらもない口調に、私はおずおずと診察室の椅子に腰をかける。


…パラ……パラ…


カルテをめくる音だけが聞こえている。

難しい数式が並んだ分厚い医学書に目を通しつつ資料を書き留めるルタさんは、終始無言だ。

もちろん、私から話しかけることはない。


(き、気まずい。予想通り。)


一定の時を刻みながら進んでいるはずの時計の針が、魔法にかけられたかのように遅く見える。


(いっそ、お腹を壊したフリをしてトイレにこもろうか。それとも、このまま寝てしまおうか。)


そんな考えが頭をよぎった、その時だった。


バタバタバタ…!


突然、廊下を走る足音が聞こえてきた。

こちらに向かってきているようだ。

私が?を浮かべていると、ルタさんは何かを察したかのように眉を寄せる。

と、次の瞬間。いきなり診察室の扉が開いた。

はっ!として目を見開くと、そこに現れたのは1人の幼い少女。


「せんせっ!!来たよっ!遊ぼっ!!」

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