俺の花嫁~セレブ社長と愛され結婚!?~
3 その溺愛は友情ですか?
朝起きてリビングに行くと、大河はとっくにスーツに着替えていて、髪型もキリッと清潔感溢れる大人スタイルにセットされていた。
ガラステーブルの上の資料の山はそのままだ。当たり前だけれど。

「俺はこれから会社いくけど、莉依はここで勉強してろ。家事とか考えなくていいからな。勉強に集中だ」

真面目な恰好をして凄まれると、迫力も満点だ。いつもより精悍だから、なおのこと言い知れぬ圧がのしかかってきた。

「は、はい……」

「帰ってきたら、覚えてるかどうかテストするからな」

「テ、テスト!?」

「赤点だったら、秘書に就職はなし、俺の花嫁に永久就職だ。いいな」

ビシッと私に人差し指を突きつけて、鋭い瞳で凄む大河。でも……

――『俺の花嫁』って、それ全然罰になってない気がするんですけど。

気恥ずかしくて頬を赤く染めながら、いってきますと部屋を出て行く大河のうしろ姿を見送った。
いずれにせよ、私に残された選択肢はただひとつ。やると約束したのだから、やれるところまでやるしかない。

さっそく重たい資料のひとつを手にして中を開いてみると、びっしりと埋められた細かい文字に眩暈がした。
ついつい心が逃げそうになり、とりあえずテレビでも点けようかなんてリモコンを探し始めてしまう。

いや、ダメだよ。これ以上大河に甘えてはいられないのだから。
昨日あれだけ頑張るって張り切っておいて、できませんでしたなんて恰好悪いこと、言えるわけがない。

「よし! やってやろうじゃない!」

仕方なく私は資料を抱えてダイニングテーブルへと着いた。

テーブルの上には、大河が作ってくれた目玉焼きとトーストとサラダの朝食が並んでる。
私の分までちゃんと作ってくれたらしい。じーんと胸が温かくなる。

心の中でありがとうといただきますを言いながら、私はサラダをもりもりと口に運んで、必死に資料を読み漁った。
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