白い虎と蝶 ~絆~

過去 ~九条家との出会い~



私には両親がいない。



いや、いないっていうのはおかしいかな。



だって私が生まれてるってことは両親がいるってことだもん。



でも、私は両親に会ったことも、見たこともない。



もしかしたら、抱っこされたこともないかもしれない。



物心ついた頃に私がいたのはある施設だった。



そこには、捨てられた子、迎えに来るねと言われたままの子、様々な子どもたちがいた。



3歳ぐらいの子供から高校生までの子供たち。



私は1歳の頃にその施設に預けられた。



施設の前に籠が置いてあって、その中に毛布と名前と生後どのぐらいか、生まれた日が書かれた紙が入っていたらしい。



その日は雨が降っていて体も冷えきっていた小さい私は見つけてくれたえんちゃんに体を少しづつ温められた。



えんちゃんは園長先生のことね。



施設で赤ちゃんを預かるのは初めてだったらしいけどえんちゃんが女だったからそのままえんちゃんが育てることになった。



そんなえんちゃんにも私は懐いたりしなかった。



抱っこされれば泣き出し、泣き止ませようとすればするほど泣き止まない。



ベットに横にさせて1人にさせるとしばらくして泣き止むような不思議な子供だったらしい。



それから何年経っても私は施設の中で1人だった。

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