chocolate mint
7

***


ーー『現在お掛けになった電話は電波の……』




「(チッ)……何で出ないんだよ!」



何度目かの無機質なアナウンスを耳にして、(本人の前じゃ絶対に口にできない)乱暴な言葉を、舌打ちと共に思わず吐き出してしまっていた。



新店舗を出てすぐに紫ちゃんに電話を掛けたけど繋がらず、



『何があったの?』


『香織ちゃんは大丈夫なの?』




送信したLINEには既読は付かず、電話を掛けてもやっぱり繋がらない。



2、3回そんなやり取りを繰り返して、これ以上は時間の無駄だと判断して、とりあえず家に向かって車を走らせた。




『Felitita』ならもっと早く駆けつける事ができたのに!と家までの距離にもイライラしながら運転すること20分。



マンションに着いてすぐ、自分の判断は間違いだったのかもしれないと気がついた。





「…………あれっ?」




香織ちゃんの車が、駐車場に停まっていなかったのだ。



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