イジワル外科医の熱愛ロマンス
本気で怪訝そうな口調。
私には祐がなにを言いたいのかわからず、不審な気持ちで首を傾げた。


「何度も言ってるし、何度もバカにしてくれてるじゃないですか」

「だってお前……」


祐は中途半端に言葉を消え入らせた。


「え?」


反射的に聞き返しても、彼は口元を手で押さえ、逡巡するように黙り込んでしまう。
返事を待って首を傾げる私の前で、祐は肩を落として息を吐いた。


「……いい。さっさと風呂、行け」

「あ。……はい」


祐が私に背を向けるのを確認して、私もスマホを操作するのをやめた。
背中に感じる彼の気配を気にしながら、シャワーを浴びる準備をする。


バタバタとバスルームに向かい、警戒しながら一度室内を振り返った。
さっきと同じバスローブ姿のまま、祐は窓際のソファに座り、組んだ足の上でタブレット端末を操作していた。


なんとなくホッと息を吐き、私はバスルームのドアを開けた。
祐が使用したすぐ後で、まだ白い靄が立ち込めている。
入った途端、私の身体は熱気に包まれた。


ついほんの少し前まで祐が使っていたと思うと、ただのバスルームがやけに艶めかしく見える……。
そんなことを考えて、鼓動が跳ね上がるのを感じた。
私は必死に心を無にして服を脱ぎ、シャワーコックを捻った。
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