イジワル外科医の熱愛ロマンス
いったいなんの話をしてるんだろう?
私のことを、祐が友達となんて話しているのか、そんな好奇心が勝って、私はつい聞き耳を立ててしまった。


だって、その頃、私は既に祐を好きだと自覚していたから。


小学生の頃までは、カッコよくてなんでもできる祐を、お兄さんみたいに慕っていた。
幼なじみだし、割と無邪気にくっついて歩いていたものだ。


だけど中学に進学してから、祐の方がどことなく余所余所しくなり、二年生に上がる頃には、わかりやすく避けられるようになった。


とても寂しかった。
私から話しかけたいと思っても、意識しすぎてドキドキして。
みんなの前で声をかけるのがとても恥ずかしくて、なんとなくぎこちない空気が漂うようになった。


そうなってしまったのは、私が祐に恋をしているから、彼の目に自分がどんな風に映るかを気にしすぎてしまうせいだと、もちろん気付いていた。


祐は、友人に『しないよ』と素っ気なく一言だけ返していた。
それでも、友人は追及の手を緩めない。


『マジ? だってさ、幼なじみって漫画とかでも絶対ネタになるじゃん。なあなあ……』


しつこく畳みかけられた祐が、それを断ち切るように声をあげて遮った。


『だから、変な想像すんなよっ! 俺と雫なんて絶対にない。あんな地味でブスな女と、なんで俺が結婚だの恋愛だのしなきゃなんねーんだよっ』
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