イジワル外科医の熱愛ロマンス
無慈悲なリベンジ
着任から三日後には、祐は附属病院の循環器外来の診療に出るようになった。
一週間に一度、午後の一枠。
それ以外の時間も、病棟で回診したり他のドクターが執刀するオペの第一助手に入ったりで、ほとんど一日中病院で過ごしている。


大学の講義が開始されたら、木山先生の受け持ちを一コマ引き継ぐことになっている。
仕事を頼まれることは増えるけれど、少なくとも、医局ではそれほど顔を合わせずに済むはずだ。


とは言え……。
私はパソコンで美奈ちゃんからのメールを開き、それはそれは深い溜め息をついた。


『心臓外科医局春の大歓迎会のお知らせ』


この四月に医局員になったドクター、研修医は、祐の他にも数人いて、その歓迎会を二週間後に開催すると書かれている。
出たくないなーと思っても、それは祐以外の他のドクターたちに失礼に当たる。
私はマウスを動かし『出席』の返信ボタンを押そうとして、一度ボンヤリと美奈ちゃんのメールを見つめた。


祐は、いつまで東都大学にいるんだろう。
いずれは宝生総合病院の院長になるんだから、教授の座を狙ってるわけじゃないだろうし、ずーっとここにいることにはならないはず。


それでも、一年、二年という短い期間じゃないのは確か。
とすると、私がここで秘書を続ける限りは、どんなに嫌でも祐との接点はなくならないってことだ。
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