イジワル外科医の熱愛ロマンス
私は医局の秘書だから、ドクターたちのスケジュール管理や、論文、講義資料の作成の補佐等が仕事。
どうしても関わりを避けられないし、学会に出席する教授やドクターに同行して出張することもある。
地方での学会の時は、宿泊になったりもするのに、祐に同行するようなことになったら――。


「それは……嫌だな」


思わず本音がポロッと漏れて、私は慌てて大きく首を横に振った。


仕事を選んじゃいけない。
いけないから……これは、私の方が医局を去ることを考えるべきなんだろうか。
とても楽しい職場環境だし、せっかく仕事にも慣れてきたところなのに。


私はどっちつかずの気持ちでユラユラと揺れ動きながら、とりあえず今メールの返信をするのはやめた。
ちょうど、午前中に園田教授と木山先生から、文献を借りてくるよう頼まれていた。
ちょっと外に出て気分転換した方がよさそうだ。


美奈ちゃんが電話対応を終えるのを待って、大学図書館に行ってくることを告げると、すぐに「行ってらっしゃ~い」と明るい声が返ってくる。


そうよね。
美奈ちゃんは、いつもああやって明るい返事をしてくれる。
それなのに私、祐が絡んだ時は『熨斗をつけて送り出された』とかひねくれてしまい、本当に申し訳ない。
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