たった一度のモテ期なら。
「西山、今日って終わってから」

思い切って言いかけたとき、スーッと動いていたエレベーターが急にぐらりと揺れ出した。

え?何?なに? とうろたえている間に短い揺れは収まった。でもエレベーターの動きもいつのまにか止まっていた。

「地震? 結構揺れたな」

動き出さないエレベーターのボタンを全部押してみるけど反応はない。電気はついてるから停電ではないのだろう。

「最寄りの階に止まるんじゃないのかよ、こういう時って」

すこし焦ったように西山が言う。

どうしよう。壊れちゃったの?

諦め悪くボタンを何度も押す私の頭上に腕が伸び、迷わず一番高い位置にあるボタンを押した。

非常ボタンだ。

背の高い西山にはちょうど顔の高さで、繋がったセンターと軽々と話をしている。

いくつかの指示に従ってみてもエレベーターが動くことはなく、結局作業員が向かうのでそのまま待つように告げられる。

確かに地震だったみたいでいくつか連絡が入っているため、どのくらい待つかはわからないようだった。

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