たった一度のモテ期なら。
「そういう意味じゃなくって。昨日だけなのかなって思ってたんだけど、違うかなって思ってもいいの?」

「昨日だけって?」

「そう言ったでしょ?ランチの後に『今日だけな』って」

西山は思い出そうとするように目を細め、ホテル代の話?と呟いた。

「そんなお金の話じゃなくって」と珍しい勘の悪さを指摘しようとしてから、あ、と思い当たった。

あれって、今日だけは全部払うよってお金のことだけだったの?

同時に西山も、私の思い込みが何だったか思い当たったようだ。



ムッとした様子で上半身を起こすと、上から私の手首を押さえるようにのしかかってきた。

「月曜からまたただの同期って俺が言ったらそれでいいのか? そういうつもりで連れ込むやつだと思ってる?」

「よくはないけど。でも、西山が何考えてるかよくわからないから」

その言葉が何か、まずかったのかもしれない。明らかに嫌そうな顔をして、西山は手を離し仰向けに転がった。

「何考えてるかわかんない?」

「私が勘が鈍いからだと思う。でも、わかりやすくもないと思う」

「仲間内とか絶対嫌だったけど、そんなのどうでもよくなった。他の奴に取られたくないし、こっち向かせたい」

天井を向いたままこちらを見ずに、怒ってるみたいにそんな風に言う。

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