記憶を失くした総長

思い出せない本当の自分

麗華side

身体が重いし、痛い。
ここは…どこだろうか。
真っ白な天井、アルコールの匂いからして病室、だろうか。
ふと、感じた左手のあたたかさ。

___えっと、誰?
大きな手で寝ながら握る少年。

『…ぉーぃ?』

かすれた声に驚きながらも、彼の手を握り返してみた。
力が入らなかったが彼は気づいたようで、一瞬の身震いの後、顔をあげる。

「お…起きたぁ〜!」

大きな声に驚いた私は悪くない。

航「…ナースコールッ!!」

彼は慌てながらナースコールを押す。
その姿が面白くて内心笑っているとすぐに医者であろう女性が入ってきた。

「麗ちゃん!やっと、やっと起きたのね…。」

__誰?

「もう大丈夫よ。一時は起きないかと…。」
『…誰、ですか?』

ふたりは驚いた顔をする。
……驚きたいのはこっちなのに。

昴「CTとMRI急いで!早くっ!」

急にあわて始めた女性の姿に心が痛んだ。
…どういうこと?
何でここにいるの…私は…わたし…は…?

『私は誰…?』

何もかもが、わからない。
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