寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~
夜空に浮かぶプールでふたり


翌日は風見さんに言われたようにサイドの髪をうしろで緩くまとめ、ツイード素材でネイビーの膝丈スカートのスーツにした。
昨日のスーツ同様、女性らしいフェミニンなデザインだ。

出勤して早々、役員室のフロアで会った田丸さんは、昨日同様に目を見張って私の元へ駆け寄った。


「今度はどうしたの!?」

「あ、あの、昨日の帰りに美容院へ行ってみたんです」


胸元で揺れる髪に触れながら言うと、田丸さんは私の周りをぐるっとひと回りして「すごく似合ってる!」と褒めちぎってくれた。


「昨日の朝と同じ人と思えないわ」

「……そう、ですよね」


私も本当にそう思う。
風見さんが強引に変身させてくれなければ、きっとずっと地味で冴えない女のままだっただろう。
おかげでいつもより目線を上にして歩けている気がする。


「ところで今夜、なにか予定は入ってる?」

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